Hirai-Kikaku

華氏同盟Ⅱ

2021年10月17日(日)

オンライン

【舞台美術と映像合成】

この作品は、舞台美術家 Xu Wenfei さんの「布団」と「夢」をモチーフにした美術を使って上演していきます。
人が人生の3分の1の時間を費やす「睡眠」。その間中、私たちの皮膚は布団と触れ合っています。
睡眠中に私たちは夢を見ながら寝返りをうち、それに伴って布団は自由自在にその形を変化させます。
目覚めた時の布団の形は、私たちの無意識と夢の結果を象っているのではないか、というのが Wenfei さんの美術のコンセプトです。

今回はクロマキー合成を使って、この布団の上に「声」を録音したその人の見ている風景を映しこみます。
そして声を聴く「身体」が、かつて声とともにあった風景と交差するさまをライブ配信します。

遠くの声と風景ーとーここにある身体が呼応していくことで、ひとつの場所に集合できない人々の集まり方が発見できるのではないかと思います。

【連続上演企画『華氏同盟』: オンライン版 コンセプト】

***** 華氏451度ーこの温度で書物の紙は引火し、そして燃える (これは文字で書き記すことが禁止された世界で物語を記憶する人々の記録です。)

2020年5月、Covid-19の感染拡大による第一回目の緊急事態宣言の期間中に、ひとつの戯曲に出会いました。
題名は『華氏同盟-The Fahrenheit Alliance-』。抗原劇場の山田カイルさんの書いた戯曲です。

「以前から少しずつやっていた、ブラッドベリの「華氏451」にインスパイアされたプロジェクトを、この機に戯曲にしました。いつでも、どこからでも、一人で参加することのできる「劇」です。ぜひご一読のうえ「同盟」に加わってみてください。」

こんなメッセージとともにSNSに流れてきたその戯曲は、ひとつの場所に集まることを禁止された緊急事態の時間にあって、密やかな目に見えない形での集合を提起していました。

蚕のように自分の家に閉じこもりながら、遠く隔たった誰かについて言葉を紡いでいく行為。
場所に集合するのではなく、言葉を受け渡していく行為で密かな同盟を繋げていくこと。
それはとても想像力を掻き立てられる提案で、いつか上演してみたいと思いながら、1年が経ちました。

2021年6月6日…私たちはこの戯曲をもとに、連続した配信上演を始めました。

オンラインでライブ配信される上演は、約15分間。
けれども、1回の上演でおわり・ではなく、声と身体をリレーして次の誰かに受け渡していくような行為としての上演を考えています。

 1) あるひとりが、別のひとりのために「声」を録音します。
 2) そして別のひとりはその声を聴きながら「身体」でパフォームします。
 3) それから別のひとりは、また他のひとりのために「声」を録音します。
 4) 他のひとりは「声」を「身体」にし、さらに別のひとりのために「声」を録音します。

「声」と「身体」の、文字を使わない文通のような連なりです。
上演時間は、その連なりが途切れるまでの時間......1年、あるいは2年、それ以上? かかるかも知れません。

このシリーズの第2回配信を、2021年10月17日に行います。どうぞ配信画面の向こうから、お立ち会いください。

【Credit】
戯曲:山田カイル [抗原劇場]
技術監督:ロブ・モレノ [Media 工房]
美術と映像:徐 雯菲
音楽:石田真弓
企画制作:平井光子 [平井企画]

声と映像:寺越隆喜
身体:小林玉季

主催:平井企画 × Media 工房

【戯曲】 『華氏同盟 – The Fahrenheit Alliance -』
作:山田カイル [抗原劇場]
*戯曲はこちらのURLからお読みいただけます↓